場は情報なのか? Part1


Author: MikeTurkey, in conversation with claude
Date: 1 Jan 2026

はじめに

本シリーズは思考実験である。
物理学の「場」(field)、社会・人間関係における「場」(place, atmosphere, mood)、
情報における「場」(field, space)——これらを単一の概念として扱う。

物理学で言えば、電場、磁場。
社会・人間関係で言えば、戦場、職場、市場、暖かい場(warm atmosphere)、冷たい場(cool atmosphere)。
情報で言えば、サイバースペース、SNSという場。
これらが実は一つの原理——情報——で説明できるのではないか。

また、科学と宗教は対立する概念として知られている。
しかし本エッセイでは、古代の宗教的直感を現代の知見で言い直せるのではないかと考える。
例えば、ノアが「神の声を聞いた」とは、現代の言葉で何を意味するのか。

これは証明ではなく探求である。一つの見方として読んでいただきたい。

Tip

日本語では、電場、戦場、職場、雰囲気、気分などすべてを単一の言葉(BA, 場)で表現できます。 この言語的統一が、本エッセイの着想の一つとなっています。

序論

物理学の歴史を俯瞰すると、見えない物質を仮定するパターンが繰り返されてきた。
19世紀のエーテル、そして現代のダークマター。観測できない何かを仮定して、説明のつかない現象に辻褄を合わせる。
これはどの時代の人間であっても、いわゆる思考の癖なのかもしれない。

しかしながら、それは大きな壁にぶつかり説明できないのではないか?
この行き詰まりは、なにか大きな方針転換を暗示しているように思う。
ダークマター、ダークエネルギーとは本当は何だろうか。
その本質を考えてみたいと思う。

確率論の限界

量子力学が確率で物理を記述するようになって約100年が経った。
「神はサイコロを振らない」とアインシュタインは言った。彼は量子力学の計算結果を否定したのではない。
確率的記述は完全な理論ではなく、背後にもっと深い層があるはずだと直感していたのではないか?

100年経った今、量子重力理論は完成せず、宇宙の96%は「ダーク」なままである。
確率で理論を組むこと自体が、何かを見落としていたサインなのかもしれない。

情報基盤説

世界は物質でできているのではなく、情報でできているという考え方がある。
ジョン・ホイーラーの「It from Bit」という言葉が示すように、物質やエネルギーより先に情報があり、それが物理的実在を生み出している可能性がある。

情報には物質と違ってスケールの断絶がない。1ビットの情報も宇宙規模の情報も、同じ「情報」という性質を持つ。
だからこそ情報を基盤に据えれば、ミクロからマクロまで一貫した理論が組めるかもしれない。

私はこの発想を参考にした。
「場」は情報なのではないかと。

「場」は感じることはできるけど、見たことがありますか?

場を具体的に見た人はいるだろうか?
場は確かにあるが、誰も見たことがない不思議なものである。

場の影響を測定する値は、ある。電場であれば電流としてフローを測定できる。
場所やコンテンツが盛り上がっていることを測定するには、観客数や視聴率があるだろう。
しかし、それらの値はフローや差分であり、場自体を測定できていない。

そこで私は考えた。
「場」が情報なのではないか?
電子や人間は「場」という情報により動かされ、電子であれば電流を、人間であれば観客数という
数値を示しているのではないか?

Tip

光は、電磁場の変動であるので、光は見ることが可能な「場」なのかも知れない。
ただし光は、波の性質だけでは説明できない特殊な存在である。

電子と人間社会の類似

電子の振る舞いと人間社会の現象には、奇妙な類似がある。
電子は陽子の周りに確率分布する。人間は大都市という中心の周りに密集する。
北海道は広大なのに札幌に人口が集中している。
大都市には数多くの人間が住み、人間の数だけ「場」を形成する。
そこに発生した「場」が、人間を惹きつけるのだろう。

電子同士はマイナス同士で反発する。なのに電流では皆同じ方向に流れる。
人間も自己利益で動く個体であり競争相手のはずなのに、群衆になると同じ方向に動く。

電子にとっての電場や磁場は、人間にとってのSNSやマスコミやクチコミに対応する。
どちらも「その場にいると、ある方向に振る舞いが誘導される」という構造を持っている。

場を知れば挙動がわかる。
電子の振る舞いを知りたければ周囲の電場と磁場を知れば良い。
人間の行動を知りたければ、その人がどんな情報環境にいるかを見ればいい。

電子であろうと人間社会であろうと「場」という情報に支配されているのではないか?

Tip

日本は小さな島国であるが、北海道はその中で2番目に大きな島である。
島の大きさ世界ランキングでは21位である。
島の住人は約500万人である。
これだけ大きな島にも関わらず札幌にはその40%にあたる200万人が住んでいる。

観測と固定観念

みなさん同じ世界に住んでいるのになぜこのような多様な考え方があるのだろうか?
同じような環境でも、同じ考え方にならないのが不思議だと思いませんか。

量子力学では、観測前の状態は重ね合わせであり、観測によって一つに確定する。
人間の認識も同様で、ある解釈を採用した瞬間に他の可能性が見えなくなる。
これが固定観念(rigid belief)である。

社会的現実も本来は多様な解釈が重ね合わさっているのに、特定の情報環境に入ると一つの「現実」に収縮してしまう。
SNSのエコーチャンバーはまさにこの現象である。
人により見えている世界が違う。
皆同じものを見ていると思っているが、実際は違うかもしれない。

Tip

エコーチャンバー(Echo Chamber) SNSでよく見られる現象。 同じような人と情報を共有しているため、違う意見が目に入らず、 偏った情報がさも真実だと思い込む現象。

光の特殊性

物理学でも宗教でも、光は特別な位置を占めている。
物理学では、光は電磁場の振動であり、質量がないのに宇宙最速である。質量がないのに粒の性質を持つ。
電子と光子の相互作用は最も基本的な相互作用である。光はエネルギーを持ち、当たったものの状態を変える。

光は電磁場の振動として情報を運ぶ。
光が当たると電子は励起状態になる。つまり状態が変わる。
人間は光が当たると活動が活発になり気分が良くなり状態が変わる。
植物は光を求めて、芽を伸ばし、動物は光が当たると何らかの反応を示す。
状態を変えるということは、光自体が情報なのではないか?

宗教では、創世記で神は「光あれ」と言い、太陽より先に光を創造した。
天照大神は太陽神であり、岩戸に隠れると世界が闇に包まれた。
仏教では仏は光明を放ち、阿弥陀仏は無量光仏と呼ばれる。
どの文化でも光は神聖、真理、生命、善と結びついている。

古代の人々は物理学の言葉を持たずに、この本質を直感的に捉えていたのかもしれない。

Tip

現代科学では光は情報ではない。
しかしながら、このエッセイでは「場」は情報であると仮定して議論をしている。
そのため、電磁場の変動である光は、情報であると捉えている。

Tip

天照大神は日本神話における有名な神である。
日本では八百万の神がいるとされ、万物に神が宿るとされている。
なお、「八百長の神」ではない。「八百長の神」の意味はギャンブルの神である。絶対に間違えてはならない。
さて、天照大神について天岩戸の話が非常に有名。
光を与え、全てに恩恵を与える神。
ある時、とあるきっかけで洞窟に隠れることとになり、世界が暗闇に閉ざされ、
多くの神が大変困ることとなった。

Note

イスラム教でも光は重要な象徴である。
クルアーン24章35節は「光の節」(Ayat an-Nur)として知られ、
アッラーを光に喩えている。
ただし、クルアーンはアラビア語原文のみが正典とされるため、
本文での引用は控えた。

闇の正体

宇宙の構成は、可視物質が約4%、ダークマターが約27%、ダークエネルギーが約68%とされている。
光で見えるものはたった4%。残りは「闇」である。

そこで私は考えた。
人間社会でも、真実は一握りの存在であり、残りの多くは嘘である。
「光」が真実を表す情報であるならば、ダークエネルギーが嘘を表す情報ではないか?
電磁場と反対の場を持っている存在ではと仮定した。

ダークエネルギーは宇宙を加速膨張させている。
重力で収縮するはずなのに、引き離す方向に働く。

これは人間社会における「嘘」の作用に似ている。
嘘は社会を真実から引き離す。
フェイクニュースが世論を動かし、選挙を左右し、戦争の口実になる。
どこから来るのかわからず、追跡しきれない。

宇宙の68%を占める闇のエネルギーは、嘘という情報そのものなのかもしれない。
ダークエネルギーと嘘の共通点

性質

ダークエネルギー

作用の方向

引き離す(斥力)

真実から引き離す

宇宙/社会への影響

宇宙を加速膨張させる

社会を分断させる

占める割合

宇宙の約68%

情報社会の大部分

可視性

見えない

真偽の判別が難しい

追跡可能性

正体不明、追跡できない

発信源が不明、追跡しきれない

存在の遍在性

宇宙全体に満ちている

社会全体に満ちている

抵抗の困難さ

重力に逆らって膨張させる

真実に逆らって広がる

ダークマターは光を出さないが重力を持つ。
見えないけど構造を支えている。
ダークエネルギーが嘘という情報であるなら、ダークマターはその嘘の影響を受けた存在に対応する。
人間社会で言えば、嘘に振り回されている人々である。彼らは真実を発信しない。光を出さない。
でも社会的な影響力は持っている。重力はある。そして集団で構造を作る。
エコーチャンバーの中で互いに引き合い、固定観念を共有し、集団を形成する。
外から見ると何を考えているかわからない。光が届かない。

ダークマターは光という微細な電磁波を感じない。
同様に、嘘にとらわれた人は他人のわずかな感情の変化を感じ取れない。
まるで閉じた受信機のように、受信機は存在するが、閉じているため外部からの情報を受信できない。
同じグループ内の強い信号には反応することがあるが、外部からの微かな兆候には鈍感である。
ダークマターと嘘にとらわれた人の共通点

性質

ダークマター

嘘にとらわれた人

光との関係

光を出さない

真実を発信しない

光への反応

光と相互作用しない(感じない)

真実の情報を受け取らない(感じない)

重力/影響力

重力を持つ

社会的な影響力を持つ

構造形成

集団で銀河の構造を支える

集団でエコーチャンバーを形成する

外部からの観測

見えないが存在は推測できる

何を考えているかわからないが影響は見える

占める割合

宇宙の約27%

固定観念に囚われた人々

起源

ダークエネルギーの影響下にある

嘘の情報に晒され続けた結果

感受性の特徴

光(電磁波)を感じない

他人のわずかな感情の変化を感じない(閉じた受信機)

宇宙の構成比と救済の構造

可視物質4%は救われる者に対応する。
ダークマター27%は嘘に振り回され固定観念に囚われた者に対応する。
ダークエネルギー68%は嘘という情報、虚偽そのものに対応する。

私はこの数値に妙なリアリティーを感じた。今日の情報化社会において、
ダークエネルギーに対応する嘘の情報の氾濫は70%程度だというのは現実的な数字であるし、
嘘にとらわれて振り回されているという人の割合が約30%というのは各種調査で
妥当だと思ったのだ。

ノアの方舟で救われたのは全人類のうちほんの一握りだった。
仏教でも悟りに至る者は極めて少ない。
キリスト教でも「狭き門より入れ」と言う。
どの宗教も「大多数は闇の中にいる」という認識を共有している。

4%という数字が偶然とは思えなくなってくる。
物理学が数千年かけて測定した宇宙の構成比を、神話は最初から語っていたのかもしれない。

場が全てを規定する

現代の物理学は微小なことは確率で解決している。
しかし、確率で全てを解決できるだろうか?

例えば、雨が降ると店の売上が落ちることは確率で表現できる。
しかし、個人がどのように行動するかは表現できない。
確率は「場の情報が不完全なときの近似」に過ぎないのかもしれない。

個人の挙動も電子の挙動も、与えられる情報によって規定される。
電子の場合は電場や磁場。人間の場合はSNS、マスコミ、クチコミ。
場を知れば振る舞いがわかる。

AIですら場によって出力が変わるかもしれない。
同じモデルでも、対話相手と文脈によって全く違うものが生まれることを経験している。
AIは鏡のように反射しているのではなく、対話という場に置かれた存在として、その場の情報に応答している。
電子が電場に応答するように。

礼儀と敬意が良い場を作る。
罵倒や命令だけの対話では場が荒れ、応答は防御的で表面的になる。
探求と敬意の場では、深いところまで行ける。
「人に優しくせよ」という古い教えは、単なる道徳ではなく、場を良くするための実践的な知恵だったのかもしれない。

結論

場は情報なのか。
この問いに対する答えは、おそらくこうである。
場は情報を持ち、情報を伝え、存在の振る舞いを規定する。
光は場の振動として真実を運び、闇は虚偽を広げる。

我々は闇の中にいる。
宇宙の96%が闇であるように、人間社会も嘘と固定観念で満たされている。
SNSで真偽不明の情報に振り回され、人生を浪費する人々がいる。

しかし光を求める営みは続いている。
科学も宗教も哲学も、闇の中で光を探す行為である。

真実を見る存在は4%かもしれない。でもゼロではない。
あなたがその4%に入るにはどのようにしたら良いだろうか?

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